イギリス住宅の装飾は、一つのデザインを取り上げてみても、家ごとにそれぞれ異なる素敵な装飾が採り入れられています。例えば、玄関まわりについては、先日の投稿『イギリス住宅の玄関ルーフ』でご紹介しましたが、その他にも次のような装飾をよく見かけます。

こちらの住宅は玄関に神殿をイメージした装飾を採り入れています。玄関ドア上部には、ペディメントと呼ばれる三角形のオブジェを取り付け、その周りをモールディング加工して装飾しています。玄関ドアの両側には太い柱のようなオブジェを取り付けることで、重厚感のある玄関になっています。先日紹介した、屋根を支える柱にギリシャ建築に用いられるイオニア式のデザインを採り入れたお宅の玄関と似ていますが、こちらのお宅は玄関屋根を設けずに、壁に三角形のオブジェを取り付けることで、玄関に立体感を出したデザインになっています。

こちらの住宅も玄関の装飾に神殿をイメージしたデザインを採り入れています。先に紹介したお宅の玄関より凹凸が少ないので立体感はないですが、細かな装飾が目を引きます。玄関上部にはペディメントを取り付けずに三角屋根のように見える仕切材や、玄関ドアの両側にピラスターと呼ばれる柱に見立てたモニュメントを取り付けています。三角屋根に見える仕切材にはモールディング加工があり、柱のモニュメントには柱頭などの装飾があります。

こちらの住宅の玄関にも、三角屋根のように見える仕切材やピラスターなどの加工によって神殿をイメージしたデザインが採り入れています。先に紹介した2軒の玄関の装飾よりシンプルな造りです。

こちらの住宅は玄関にちょっとした雨除けの屋根を取り付けています。ペディメントと呼ばれる三角形の装飾はありませんが、ピラスターと呼ばれる柱のような装飾があります。今までいろいろな住宅の玄関を見てきましたが、この玄関デザインは、一番シンプルに神殿をイメージした装飾を採り入れています。これらの玄関装飾は、イギリス住宅に見られる、ジョージアン様式の特徴の一つです。